きんきビジョンサポート(KVS)の紹介)

(2009年4月)
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きんきビジョンサポート 代表  堀 康次郎
はじめに

 きんきビジョンサポート(KVS)は、「医療とリハビリの架け橋に」を合言葉に、きんき=近畿圏を中心に、ビジョン(Vision)=視る力(視力、視野、その他の視機能)を、サポート(Support)=支援・応援する非営利(NPO)団体です。
 活動を推進するメンバーは現在30人。見えない・見えにくい人、家族と、医療・リハビリ施設、大学などの教育・研究機関、視覚補助具などの業界、支援団体等、さまざまな分野の有志により構成されています。この構成そのものが、「連携」のひとつのカタチではないかと自負しています。

 KVSのビジョン(未来のイメージ)は、「見えなくても仕事はできる」です。これは、「見えにくくても、たとえ見えなくなったとしても、仕事、勉学、家事・子育て、趣味・スポーツ、地域やボランティア活動を通じて、自分らしく、いきいきと暮らすことができる。」を意味しています。
 このビジョンに向け、KVSは、多彩なメンバーとそのネットワークを最大限活用し、ユニークで多様な活動を展開しています。

以下、KVSについて紹介します。

T 経緯
U 活動内容
V 参加者の「生の声」


T 経緯

 地域における視覚障がいリハビリテーションは、さまざまな場所・形態で行われています。
京阪神では、公立病院、大学病院、総合病院や個人の眼科等、数多の眼科があります。また、国立神戸視力障害センター、日本ライトハウス、京都ライトハウスや盲学校など、リハビリ施設は充実しています。そして、見えない・見えにくい人を支援するボランティア団体の活動も活発です。
 しかし、それぞれの間には高い壁があり、「連繋」が十分とは言いがたく、手の届いていない「すき間」の部分も少なくありません。そのため、多くの見えない・見えにくい人は、必要な情報が、必要な時期に与えられず、適切な訓練が受けられないという現実があります。

 きんきビジョンサポート(KVS)の活動開始のきっかけは、2003年に、リハビリ施設の歩行訓練士、眼科医、視覚補助具販売会社の視能訓練士、見えない・見えにくい人をサポートするボランティアが互いに知り合いになったことでした。それぞれが、自らのフィールドで見えない・見えにくい人をサポートするときに生じる問題や葛藤を抱えていました。共通の認識は、医療とリハビリの間には、現状では埋められないすき間があるということで、「そのすき間を埋めるサービスがないのなら、自分たちで作ってしまおう」と話がまとまり、活動をスタートさせました。
 当初の活動は、「リハビリテーションメニュー」と「見えない・見えにくい人と家族が集まれる場」の提供でした。

 この活動を定期的に続ける中で、見えない・見えにくい人と家族をはじめ、さまざまな関係分野の人たちに声をかけ、会の趣旨に共感した人がスタッフ・顧問として順次参加し、活動を拡げていきました。
 現在、スタッフ17人(男性10人、女性7人、平均年齢40歳代)、顧問13人、総勢30人。見えない・見えにくい人[10]、家族[1]、眼科医療従事者(眼科医[2]、コ・メディカル[4])、リハビリ関係者[6]、大学や研究所の先生[3]、カウンセラー[4]、視覚補助具などの関係者[2]、支援団体役員[8]等で、多士済々のメンバー構成になっています。[ ]内の数字は人数で、「見えにくい人が支援団体の役員」などの場合は重複カウントしています。メンバーのいずれもが他に仕事を抱える中での無償活動で、視覚障害リハビリテーションに対して熱意を持った人が、各方面から集っています。どのようなメンバーかは、ホームページをご覧ください。
 この特色あるメンバーとそのネットワークを活かし、見えない・見えにくい人を対象とした催しはもとより、家族、眼科・リハビリ関係者を対象とした催しなど、他の団体にはないユニークで多様な活動を展開しています。

 活動の本拠地(催し会場、事務所ブース)は、大阪市立飛鳥人権文化センターにおいています。このセンターは、阪急電車京都線「崇禅寺(そうぜんじ)駅(梅田から10分)」より徒歩1分の好立地にあり、見えない・見えにくい人の利便性や安全性を重視して選択しました。
 なお、運営は、見えない・見えにくい人だけではなく、さまざまな分野の人たちを活動の対象にしていることから、会員制はとらず、催しへの参加費を主財源とし、加えて助成金、寄付などでまかなっています。


U 活動内容 

きんきビジョンサポート(KVS)の活動の三本柱は、次のとおりです。
@見えない・見えにくい人のQOLの向上のための活動
Aロービジョンケア(特に、眼科医療における)の普及・推進のための活動
B見えない・見えにくい人と家族および医療・リハビリ関係者への支援情報提供サービス
 具体的には、「催し」と「広報」により、これらの活動を推進しています。
 まず広報です。ホームページとメルマガ:KVS通信があります。
 昨年の秋、インターネット講習会のとき、Googleで「KVS」を検索したら、なんと一番最初に「きんきビジョンサポート」が出てきてビックリしました。このホームページは、網膜色素変性症2級のチャーミングな女性スタッフが作成、管理しています。是非、一度のぞいてみてください。
 KVS通信は、催しの案内や報告、トピックスや「連携」している他団体の情報を、現在400人の方々に随時配信しているものです。もちろん無料です。「この輪を1000人に!」が目標なので、是非アドレスを登録してください。そして、周りへの声かけもお願いします。登録は、info@kvs.ccへ。

 次に催しです。これまでに実施してきたすべての催しを以下に紹介します。
 この中で、医療関係の方々に参加してほしい催しは、サロン、ロービジョンケア講演会&交流会、病院内サロンの三つです。この三つをまとめて「サロン活動」と呼んでいます。「サロン活動」は、見えない・見えにくい人や家族、医療・リハビリ関係者が一堂に集い、それぞれの立場を理解し、お互いに膚で感じあうことを目的に企画したものです。参加者の感想を、V. 参加者の「生の声」で紹介します。

1.KVSが主催する催し 
【KVSサロン】

  KVS発足当初から毎月第3土曜日か日曜日の10時から2時間、仲間作りや情報交換の場、また、家にとじこもりがちになる見えない・見えにくい人に外に、出る機会を提供するという目的で開催しています。
 当初は参加者のほとんどが見えない・見えにくい人と家族でしたが、最近は、医療・リハビリ関係者、視覚補助具関係者、点字や朗読ボランティアなど、いろいろな分野の方が参加しています。
 毎月、テーマがあり、それにそった講師を迎えることもあれば、そのテーマに精通しているスタッフが担当することもあります。

* 担当スタッフから一言*
 月に一度「KVSサロン」を開催しております。このサロンは、見えない見えにくい人だけでなく、誰でも参加いただいております。
 テーマは決してお堅いものにならないように留意して、その場にお集まりいただいた皆が楽しいと感じていただける時間にできるよう、KVSスタッフ全員で知恵を絞りながら取り組んでおります。アロマセラピーあり、コーヒーサロンあり、裁判員制度、拡大読書器や様々な便利グッズ、盲導犬のこと、駅での安全に移動する勉強会、日常生活での工夫などなど、いろいろなテーマをワイワイ賑やかに楽しく、QOLの向上に少しでもプラスになるよう、これからも続けて参ります。年に一度は「お出かけサロン」として、ビール工場や放送局の見学もさせていただきました。今年は何処へ行きましょうか?(大森敏弘)


【ロービジョンケア講演会&交流会】


 2005年6月を皮切りに、年1回(2005年度は2回)、医療からリハビリへの流れをよくし、医療・リハビリ関係者が一堂に会することで「顔が見える関係」を築き、連携を深めることを目的として開催しています。
 当初は、大阪市内の公共施設を借りて開催していましたが、2007年度から、KVSと大阪市立中央図書館の共催事業となったため、市の広報や図書館だよりなどを通じ、より多くの方々にこの講演会を知ってもらえるようになりました。
 講師には、医療関係者を迎え、視覚障がいに関する最新の情報や診療最前線におけるロービジョンケアを、わかりやすい言葉で語ってもらいます。また、後述のセルフヘルプグループ、病院内サロン、茶・い・夢、HOTPOTの会の参加メンバーの見えない・見えにくい人や家族に、体験や気持ちを語ってもらう時間を同時に必ず設けています。
 さらに、2007年度から、講演会に続いて、交流会を開き、医療・リハビリ関係者、見えない・見えにくい人と家族、ボランティア、視能訓練士を目指す学生が少人数のグループにわかれ、それぞれの立場で、お互いを膚で感じながら、今の気持を語る場を作っています。

* 担当スタッフから一言*
 2007年は、 1月人事院通知「障害を有する職員が受けるリハビリテーションについて」、4月厚生労働省通知「視覚障害者に対する的確な雇用支援の実施について」、12月労働政策審議会意見書が立て続けに発出され、見えない・見えにくい人の「自立」に向けた国の画期的な動きがあった年です。ここでは、ロービジョンケアの必要性がうたわれ、中でも、眼科におけるロービジョンケアが、とりわけ重要であることが明記されました。この催しは、ロービジョンケアとは何か?」 「そのために、患者にどう接するか?」を、眼科医の講演や、見えない・見えにくい人との交流、最新機器の展示などにより、「勉強し、肌で感じる」場として企画したものです。(堀 康次郎)


【ロービジョン講座・白杖基礎講座】

 視覚リハビリテーションの入り口の部分を体験し、少しの訓練で生活が楽にできることをリアルに実感してもらうことが目的です、数ヶ月に一度、歩行訓練士と見えない・見えにくいスタッフが講師となり、実施しています。参加者は毎回3〜4名限定で、これはスタッフがきめ細かい指導ができるようにするためのものです。ハードな講習ですが、受講者からは、あらたな発見があるとして、高い評価をいただいています。
 ロービジョン講座は3回セットで、1回目は眼球運動訓練(講義・実技・体験談)2回目・3回目は、眼球運動の確認と屋内・屋外での視覚の活用のしかたです。白杖講座は、単発で、白杖の使用に関する講義・実技があります。


【点字読み指導者養成講座】

 「点字を習いたいけれど、指導してくれる人がいない、場所がない」という声をうけ、点字指導の第一人者と言われる、原田良實先生を講師にお迎えし、2007年度から、毎年1回2日間通しで実施しています。
 この講座は、点字を書く指導ではなく、読みを指導することに焦点を合わせた講習会です。
 ホームページ上に案内を載せると、一斉に全国各地から受講者の申し込みがある、人気の講座に成長しました。2日間講習を受けた人には、KVSから「修了証」を発行し、点字読みを指導することのできる人として、KVSに登録してもらっています。この方たちには、将来的に、KVSがコーディネートし、点字読み指導を受けたい人に指導していただく計画ももっています。


【セルフヘルプグループ(SHG)】

 人生半ばで視覚に障がいを負った方たち自らのエンパワメントを目ざし、スタッフのカウンセラーがファシリテーターとなって、2005年4月から月に1回、2時間、グループでの話し合いの時間を持っています。
 このグループは1年メンバー固定で運営することが特徴です。 2005年開始時から、3つのグループがこの体験を終え、それぞれのグループが独自の活動を始めています。
 これまでは「中途で見えにくくなった勤労男性のためのセルフヘルプグループ」を実施してきました。2009年度から、ファシリテーターを2名に増やし、中途で見えなく・見えにくくなった人なら、原則として誰でも参加可能なグループで行っていきます。

*  担当スタッフから一言*
 日常生活ではあまりしないであろう自分を語ること、そしてそれを、グループという場でおこなうこと。それには数々の意味・意義があります。各自がそれをリアルに体験し、1年かけて少しづつ変っていく自分を実感してほしくて、メンバーとともに歩んできました。メンバーから「田中さんのグループは厳しいなぁ」と言われることもありますが、厳しさの中に、安全感であったり、潔さであったりを、田中らしい色彩で織り込んでいきたいと思っています(田中桂子)


【点字楽しみ隊】

 点字読み指導者養成講座を修了したスタッフを中心に、せっかく学んだ点字を忘れないように、楽しく身につけようという会を実施しています。ゲームを取り入れたりしながらの、気楽な雰囲気の学びの会です。サロン終了後、昼食を挟んで、2時間を使って実施しています。
2.KVSが後援する催し 

【病院内サロン】

 KVSスタッフ(現在は顧問)の視能訓練士の声かけで、2005年3月に、当スタッフの勤務先である市立池田病院での「病院内サロン」が発足しました。2ヶ月に一度、通院患者や近隣居住の見えない・見えにくい人とその家族が集い、毎回のテーマにそった講演のあと、少人数のグループに別れての座談会をおこなっています。当初は全て無償の活動でしたが、2008年度から病院スタッフの尽力で病院予算が付く事業となりました。KVSのスタッフは、講師として、また、当日の運営スタッフとして、発足当初より、この会のサポートをしています。
* 担当スタッフから一言*
 外来でのロービジョンケアを進めていく中で、視覚障害であるが故の失敗や不安感等の多くの悩みを家族にさえ、なかなか理解してもらえず孤独であるという訴えを多く聞くようになりました。補助具の選定も大切ですが、見えない・見えにくい人の不安や苦しみを少しでも軽減し、希望を見出すことができるようお手伝いをすることもロービジョンケアではないかという思いから、情報提供と悩みを共有する場として、サロンを病院内で開くこととなりました。
 眼科スタッフのみでのロービジョンケアには限界があります。KVSスタッフには、経験豊富で多彩な人材が集まっています。そのスタッフに支えられ、私たち医療従事者も見えない・見えにくい人やその家族も、多くの知識や励ましを得てサロンが開かれている2時間を暖かい思いで共有できています。特に、同じ苦しみを味わい乗り越えてこられた当事者スタッフが果たすピアサポートの役割は、非常に大きいと感じています。(嶋田律子)


【茶・い・夢(ちゃいむ)】

 KVS発足と相前後してできた、「40代を中心とした見えない・見えにくい女性の会(プラスの会)」を引き継ぎ、「茶・い・夢」と名前も改め、活動を継続しています。毎月1回開かれるこの会は、40代の女性が催す会らしく、テーマも、生活の知恵や、おしゃれ・お化粧の情報など、生活に密着した楽しい内容になっています。会の終了後は、食事とともに尽きないおしゃべりに花を咲かせています。

* 担当スタッフから一言*
 見えない・見えにくい40代女性のためのティーラウンジです。毎回、人付き合いのコツや生活の工夫が飛び出す楽しい会です。(海老澤弥生)


【HOTPOTの会】

 働いている、あるいは将来的に働くことを目指している見えない・見えにくい人たちと、その人たちを支える衣料・リハビリ関係者の集いです。最初に有志が集まった居酒屋の名前を会の名称にしました。2ヶ月に1度、金曜日の夜に例会を持ち、自分たちに身近な問題について、ざっくばらんに、また真剣に語り合っています。会の終了後は、二次会と称して、ノミニケーションに大輪の花を咲かせています。
3.不定期に実施される催し

【ロービジョン者のガイドヘルプ基礎講座】


 見えない・見えにくい人が、家族と共に参加し、正しい手引き(ガイドヘルプ)のしかた・されかたを学ぶことを目的とした講習会です。プログラムは、家族の見え方の疑似体験(疑似体験グラスを使っての歩行や食事)、家族の方への正しい手引きやしてはいけない手引きに関しての講義と実習です。最後に、参加者全員で交流の時間を持ちます。1日通しの単発の講習で、過去に2回実施しています。


【視能訓練士・ボランティア向け講習会】

 KVSスタッフが総出で各自の専門分野を担当し、病院内の手引き方法、福祉機器の利用法、カウンセラー・見えない・見えにくい人の立場からの心理、見えない・見えにくい人がどう働いているかなどの講習を行いました。1回
 2時間で、6回続きの講習会です。
V 参加者の「生の声」
 
 きんきビジョンサポート(KVS)は、昨年9月の第9回日本ロービジョン学界学術総会において、「題名:ロービジョンケア普及に果たすサロン活動の役割」を発表しました。
 以下は、そのときの資料として、参加者からいただいた感想を原文のまま「生の声」として、まとめたものです。
【KVSサロン】
 ○視能訓練士
  ・いろいろな意見交換がされていて、本当に良い交流の場だと思いました。白杖などロービジョン者の体験を聞くことができて良かった。実際に、病院で、歩行訓練や、白杖の訓練は難しいですが、情報の提供ならできるとは思います。少しずつでも改善できればと思います。
  ・皆さんがそれぞれの立場で自由に発言されており、とても活発な会であることに驚きました。
 サロンの雰囲気はとてもなじみやすくいい雰囲気に思いました。
 たくさん感じたことはありましたが、中でも、医療の現場で、患者さんの背中を押して欲しいと皆さんがおっしゃっていたことはとても印象に残っています。私自信躊躇していたことでもありましたが、自分達がしないと誰がするのか!?と役割をあらためて考えさせられました。
 外来にこられている患者さんにKVSのことを話したいと思いました。限られた外来の時間の中で私達視能訓練士が何ができるか?現在は光学的な補助具の紹介、処方が主ですが、もっと何かできるのではないのかなと感じたので、今後スタッフとも話し合い考えていきたいと思っています。また、医師にも積極的にロービジョンケアについてアピールしていきたいと思いました。
【病院内サロン】
 ○見えない・見えにくい人
  ・自立支援についての疑問点を、柔らかい口調で誠意ある返事を頂けたのが嬉しかった。
  ・日常の不安や悩みを同じ視覚障害の方と共有できるので、気持ちが安らぐ。
  ・他の当事者の方から自分の知らなかったことを教えてもらえたことが嬉しかった。
  ・△△市から参加したが、このサロンに参加したくても視覚障害者にとってここまでの距離はやはり遠く、なかなか参加することができない。△△市民病院から徒歩5分の所に住んでいるがロービジョンケアさえやっていない。どこの公立病院でもこのようなサロンを開いてもらえると嬉しい。
  ・すぐに役立つ情報や工夫を聞けて非常に良かった
  ・患者の会は近隣にないので、参加できてうれしい
  ・悩んでいるのは自分ひとりではないことがわかり、前向きに生きていけそう
 ○家族
  ・視覚障害となり苦しみ、精神的に不安定になった家族を抱え辛い思いをしているのは、自分だけではないということを知った。
  ・家族としての悩みを他の参加者と共有することで、問題解決も図ることができた。
  ・家族の思いや悩みを言える場である
○視能訓練士
  ・当事者の生の声を沢山聞くことができ、非常に勉強になった。今後のケアに役立てたい。
  ・大変勉強になった。自分の眼科でも取り組んでいきたい
【ロービジョンケア講演会&交流会】
 ○視能訓練士
  ・池田市民病院やKVSなどのサポート団体のご活躍を見てロービジョンの方々の精神的な支えになられて私も眼科で働く身なので情報を仕入れてロービジョンの患者様をサポートしていかなければならないと感じた。
 実際ロービジョンの患者様の声を聞くと医療関係者からは有益な情報は得られなかった…といった意見が多かったので大いに反省した。このような講演会のコマーシャルをたくさん(学会などで…)行い医療関係者に講演会参加を呼びかけ広めていく。実際聞くこと見ることが重要だと感じたので。
  ・当事者の方の本音が聞けたと思います。また、どこ迄ロービジョンケアに立ち入るかで迷うところですが、どんどん情報提供はした方がいいと感じました。
 全ての職場がロービジョンケアするのに適した状況ではないですが、(大学病院のように設備・器具に恵まれているわけではない)それぞれの所で出来得る最大限のケアを心掛けたいと思います。
 知り得る知識はどんどん分かちあうため、勉強は怠れないと実感しました。相手の側に立って考えていきたいです。RPの方から日常的な不自由なことやその工夫など生の声を聞かせて頂きました。
 また見えにくいことに関して、思春期の家族の方や周りの方に対しての気遣いなど、実際にお話を聞かなければ知り得なかったことが多くありまし た。
 大きな病院で治療されていてもロービジョンに関しての説明を受けた方が少ないこと、患者様が孤独感を持たれておられる点が気になりましたので、予約を取らなくてもいつでも来院できる診療所のメリットを生かして対応していきたいと思っています。メンタル面ではサロンを開けられたら良いのですが、患者さんの数が少ない事と、年代性別のバラツキなどセッティングが難しい点でまだ出来ずにいます。孤独感を持たれている方にはKVSの活動について頂いたパンフレットをコピーしてお渡ししています。ライトハウスより身近な存在として認識して頂き、他にも頑張っておられる方がいることを知っていただくことで、患者様のこれからの生活にプラスになればと思っています。
  ・ロービジョンケアについては専門家の中では以前に比べると少しずつ広がってきているようにも思いますが、実施しているところは特定の場所、人のような印象もあります。また、当事者の方にはまだまだ情報が伝わってないことが本当に多いと思います。
 それを考えるとサロン事業はとても良い取り組みだと思います。また、当事者が中心となって、専門家とチームを組んでいるところが、理想的だと思いました。当施設でもサロン事業を始める準備をしたいと思います。
  ・私が入ったグループで、ある方は事故の為視力を失ったが、仕事を続ける為に努力したことや、パソコンで音声機能がつけれる様になり仕事でも日常でも今まで以上に様々な情報が入るようになり役立っている!など普段聞けないことが聞けて良かったです。あと、点字だと情報を伝えたり収集する時に限度がある!ということを改めて感じました。
○視能訓練士養成校学生
  ・初めて視覚障害当事者の方の手引きやお話を聞くことが出来、貴重な時間を過ごすことができました。
 ロービジョンの方に対しての情報提供やケアが病院では殆どされていないという現実を知りました。 グループの中には網膜色素変性症の方が3名おられ、どなたも通院病院では何も教えてもらえず、たまたまライトハウスの存在を知ったり、色素変性の会があることを知ったのが始まりだったということでした。 たまたま知ったということは、まだまだ知ることが無い患者様も沢山おられるのだと思いました。
 「まだ見えてる内からロービジョンケアの話や、情報提供をするのはどうか」という質問に対して、「病院では治療法もなく見えにくくなっていくだけと言われ、数十年間不安の内に過ごしてきたので、その時情報提供があれば不安は全然違っていたはず。」という答えでした。また、「その時受け入れることができなくても、いつか本当に困った時、情報があったことを思い出す筈」とおっしゃっていました。病院が回復の見込みが無いと突き放すのではなく、患者様が病気を受け入れることができず、拒絶されたとしても初期の間に情報提供することが如何に大切であるかということがよく分かりました。
  ・私は実際に視覚に障害を持った方と触れ合うというような催しに参加するのは初めてだったので、とても良い経験ができたと思っています。視覚障害者の方が何を求めているのか、自分達のどのような対応が嬉しいと感じて頂けるのか等、今後医療の現場で働いていこうという者として、とても参考になるお話を聞かせて頂きました。
 普段の学校生活では聞くことのできないような話を聞かせて頂き、又視覚障害者だけではなくORTの方や大学院生の方等多くの方と触れ合うことができ、とても有意義な時間だったと思っております。
  ・ロービジョンの方の生の声を聞き、病院における対応や、今、必要とされていること等を知る事ができ大変、勉強になりました。ここで学んだ事を今後、自らの仕事や生活に活用していきたいと思います。
  ・交流会の時間の長さ1グループの人数そして円になって話すという体勢が良かったと思います。
 提案ですが名札の書き方についてです。現在苗字を漢字表記しているのを(全員)ひらがな表記に変えるというのはいかがでしょうか。この提案に至った理由として例えば画数の多い漢字よりもひらがなのほうがスッキリして見えやすい。また漢字で特殊な読み方をする苗字でもひらがなだとわかりやすいことが挙げられます。(初めの自己紹介で名乗っていても緊張で忘れていることがあるかもしれません)。グループの中で名前を呼び合うことも大事なコミュニケーションの1つのように感じます。
  ・ロービジョン当事者の方、ご家族の方、福祉や医療関係の方、とそれぞれの思いを聞き、話すことが出来て本当に良い体験になったと思います。
 私は医療従事者の卵であると同時に、私自身も眼球運動障害が有り、視力、視野は正常だけれども見え方に不自由を感じている、視覚障害者にも入らない中途半端なロービジョン当事者と言えるでしょうか…。サロンや交流会ではやはり視力、視野障害のある方ばかりなので、正直当事者としては参加しにくいように思ってしまいます。この様な私ですが、将来、私なりに視能訓練士として医療と当事者をつないでいくなど、何らかのかたちでロービジョンに関わっていくことが出来ればと思っています。
  ・今回のボランティアの他、市立池田病院の院内サロンなども手伝わせて頂き、見えない・見えにくい人やその家族の方たちの話を聞く中で、見えにくくなってきて初めに接する機会の多い病院でのロービジョンケアの取り組みが如何に大切かを再確認することが出来、良かったです。
 視能訓練士の業務は「医師の指示の元に」行うものであり、理想と現実は異なることもあるかもしれませんが、見えない・見にくいことで困っている人の手助けが出来るよう、周りへの啓発なども含め、出来る限り頑張っていきたいと思います。
○見えない・見えにくい人(当日のグループ単位)
  ・自分自身を見て欲しい。たまたま病気が目に出ただけであって、自分は何も変わらない。/病院でのコメディカル(看護師、検査員)の知識不足を感じる。あいまいなことしか教えてくれなかったので、コメディカルは自分の知識、情報を増やす努力が必要。
  ・病院受診し早期に医師から書類手続きや補助具の紹介を受けることが出来た.医療者にも患者の会などのイベントに参加して、どのように活動しているか実際に見て欲しい。/開業医で羞明訴えるも、遮光眼鏡紹介なかった。病院によって差がある。/療者が情報を取捨選択して欲しくない。どんな情報でも提供をして欲しい。/早期に病院でロービジョンケアを紹介して欲しい。特に情報提供は大切だ。
  ・ロービジョンケアを受ける受けないの選択は患者にあるので、ロービジョンケアの紹介は早ければ早いほど良い。
 当事者3人からはロービジョンケアは早ければ早いほどいい、いろんな情報のチラシを渡していただくだけで、自分で必要と思った時にチラシを取り出して連絡をとる。/当事者同士が集まる場の紹介をしていただければ、ルーペや遮光眼鏡などの道具の情報は自然に入ってくる。/道具を紹介することがロービジョンケアと思われがちだが、道具も必要だが当事者同士のつながりを一番と考えている。
 なるべく早くまず病院で知らせてほしい(身障・特定疾患・訓練施設)
 医師の考えや都合もあるだろうが、選択するのは本人である。生きるという問題としてとらえてほしい。
 自治体の姿勢の違い。情報をくれる病院の格差が大きい。
  ・きっかけがあってロービジョンケアを知った。それによって仕事を続けられたのは幸いである。
 医療・福祉・教育・行政がうまく機能していない。ネットワーク作り、連携が大切。/流れを作って欲しい。
  ・いろんな情報があれば、少しは不安等がやわらぐ。また、見えにくい人からもっと行政や病院に働きかけていくべきだ。/それができる団体がKVSだと確信していますのでがんばってください。
 交流会の時間をもっととってほしかった。
  ・眼科医にKVSの存在を知ってもらうには…学校や職場の検診時におけるロービジョンケア/手帳取得時にもっと情報を与えるよう、行政にも働きかけが必要。
 ロービジョンケアの時期についてはお3方とも「早ければ早いほうがよい。そのとき必要でなくても情報を持っていることで心のよりどころとなる」。


おわりに

 きんきビジョンサポート(KVS)は、活動を開始して7年目に入りました。
 これまでに、サロン2000人、ロービジョンケア講演会&交流会1000人、病院内サロン1000人をはじめ、多くの方々に参加していただきました。本当にありがとうございます。
 しかし、参加者の多くは、見えない・見えにくい人や家族であり、まだまだ医療関係者の参加が少ないのが現状です。
 KVSは、活動の内容そのものを改善し、より充実させていくことはもちろんですが、活動の「良さ」、「お得感」、「とっつき易さ」をより理解いただけるようホームページやKVS通信だけでなく、あらゆる機会を利用して「KVS活動の広報」に力をいれてまいります。そういう意味で、今回、兵庫県眼科医会会報の誌面で、「KVSの紹介」の機会を与えていただいたことに、感謝申しあげます。
 さっそく「広報」です。7月5日(日)午後、大阪市立中央図書館で、「ロービジョンケア講演会&交流会」を行います。また、「サロン」は毎月、「病院内サロン」は奇数月に行っています。参加をご検討いただくとともに、周りの方々への超えかけもお願いいたします。詳しくはホームページをご覧ください。
 最後に、KVSは、誠意、創意、熱意をもって、多彩な人材によるユニークさと多様性を最大限に活かし、見えない・見えにくい人と家族の現実をきちんと認識したうえで、ビジョン「見えなくても仕事はできる」を共有できる人たちや団体としっかりと「連携」をとり、一歩一歩進んでいく所存であります。
 皆さま、どうぞ気楽にKVSの活動にご参加ください、そして、あたたかいご支援ときびしいご指導をたまわりますよう、よろしくお願いいたします。

【引用・参考文献】
 田中桂子: 岡山県視覚障害を考える会・会報 第47号:7−9、2009
 嶋田律子他: 第8回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集:99、2007
 嶋田律子他:市立池田病院におけるロービジョンケア。日本ロービジョン学会誌8:77−81、2008
 堀康次郎他: 第9回日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集:9,4,2008

(この紹介文は、「兵庫県眼科医会報 第183号 平成21年4月」に掲載されたものです。)

<きんきビジョンサポート(KVS)のご案内>
所在地:〒533-0033 大阪市東淀川区東中島3-14-32
飛鳥人権文化センター内
□阪急京都線「崇禅寺」駅下車すぐ
□阪急千里線「柴島」駅下車北西へ約600m
メールはこちら、ペンギンのポストマンの動画イラスト、必死で走ってまーす E-mail info@kvs.cc ホームページ:http//www.kvs.cc/
電話・06-6323-0188
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