きんきビジョンサポートのロゴ
市立池田病院におけるロービジョンケア
― 病院内サロン設立への想い ― 
 当院眼科では、平成14年2月からロービジョンケアを行っています。視覚障害は、情報障害とも言われ視覚障害の方は、社会から孤立しがちです。外来でのロービジョンケアを進めていく中で、視覚障害であるが故の失敗や不安感等の多くの悩みを家族にさえ、なかなか理解してもらえず孤独であるという訴えを多く聞くようになりました。補助具の選定も大切ですが、視覚障害の方の不安や苦しみを少しでも軽減し、希望を見出すことができるようお手伝いをすることもロービジョンケアではないかという思いから、情報提供と悩みを共有する場として、サロンを院内で開くこととなりました。
平成17年3月に第一回院内サロンを,NPO団体Kinkiビジョンサポート(KVS)のバックアップにより開くこととなりました。その後、平成19年7月までの間に、当事者の講演、生活のテクニック、補助具の展示、白杖講座、市の福祉課による自立支援法の話など、テーマを変え10回目を迎えています。休診日である土曜日の午前中2時間を使い、前半はテーマに沿った内容を、後半は4〜5人の小グループに別れ自由な座談会の場としています。
第一回サロンの出席者は当事者及びその家族、スタッフ合わせて15名でしたが、内容が充実してくるにつれ参加人数も増え、講習内容にもよりますが見学者、ボランテイアも含めると総勢50〜60名の大きなサロンとなっており、それなりの成果を出すことができています。
しかし当院サロンのこの成果は、KVSの協力によるものであると言っても過言ではありません。眼科スタッフのみでのロービジョンケアには限界があります。KVSスタッフには、経験豊富で多彩な人材が集まっています。そのスタッフに支えられ、私たち医療従事者も視覚障害の当事者や家族も、多くの知識や励ましを得てサロンが開かれている2時間を暖かい思いで共有できています。特に、同じ苦しみを味わい乗り越えてこられた当事者スタッフが果たすピアカウンセリングの役割は、非常に大きいと感じています。
平成17年9月に開催されました第6回日本ロービジョン学会が、この時に学会長を務められました山縣先生のご尽力で視覚障害リハビリテーション協会研究発表会と初めて合同で開催されたことは私達が待ち望んだことであり、意義深い大会でした。医療、福祉、教育、行政が連携を取ることにより、真の意味でのロービジョンケアができるのではないかと思っております。 (ロービジョン学会 発表抄録より)
市立池田病院眼科  
視能訓練士 嶋田 律子

病院内サロンのページに戻る