体験が自信を産む
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大学時代に特別な理由もなく入った点訳サークルがこの世界への入り口になった。
点字タイプライターでガチャガチャと点字を打つことと、点訳サークルの仲間
との活動が無性に楽しかった。わが大学は、学内には点字使用者がいないのにサークルだけができたという、やや変わり種であった。その結果、点訳サークルには
入ったが、見えない人・見えにくい人と接することはほとんどないという生活を送っていた。
3回生になったときに転機が訪れた。大学初の点字使用者が入学し、その彼と
友達づきあいをするようになった。一緒に飯を食い、飲みに行き、ボーリングを
し、パチンコをし、バッティングセンターに行き・・・という生活の中で、視覚
障害に対する考え方ががらっと変わった。何のことはない。「彼も同じ大学生な
んだ」ということを体験しただけなのだが、自分にとって非常に大きなことであっ
た。少なくとも1人の見えない人間の生の大学生活を知っているということが、
今の仕事に就くときの大きな支えとなった。
1つの体験が、今まで見ていたものの見方をすっかり変えてくれる。体験に基
づく知識は自信を産み、自分の行動を変えてくれる。
そんな体験を提供できるKVSであり続けたいと思う。
by 岡田