サングラスと白い杖
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もう5年も前のことです。私が日本ライトハウス職業訓練部にてPCの勉強を
させていただいていたころ、彼は実に軽やかにスタスタ・コツコツ歩いてました。流行のサングラスをいかなる時もしゅっとかけて。
交通事故で全盲となった彼はライトハウスを出た後も、長居公園の近くに一人住み
ながらスタスタ・コツコツ歩いてました。本当に上手に、白杖の先に目があるように
起用に周囲の様子を探りながら。焼き鳥屋へ行く時もコンビニへ行く時も、昼でも夜でも。
今彼のことを思うと「ガイドヘルパー」って必要なのか? と考えます。ガイドヘ
ルパーを決して否定などはしません。ただ、彼のひょうひょうとそして逞しく大阪を
歩く姿と、白杖もつかずヘルパーさんにしがみつくようにヨレヨレと歩く人と、何が
違うのだろう?と考えるのです。
行きたい時に行きたい場所へ行く。 こんな自然なことが他人のペースに支配され
るなんて私は我慢できないのです。大海原を風と星とコンパスで航海した船乗りのよ
うに、私も大阪を遮光メガネと白杖と好奇心を友に歩いて行くのです。
「おーい 元気にしているか!」 私には見えない夜空の星に、彼が今日もスタ
スタ・コツコツとマイペースでいることを願いましょうか。
by 大森